需要が高まる訪問歯科

訪問歯科

訪問歯科は高齢者や身体が不自由な人にとって必要な存在です。しかし、全国でも約2割の歯科医院でしか訪問歯科を行なっていません。訪問歯科の現状と訪問歯科の推進を助ける取り組みについてご紹介します。

高齢者の歯科治療について

日本で要介護認定を受けている高齢者の割合は平成21年のデータでは、469万人にも及びます。介護保険制度が始まった平成12年は218万人だったのが、わずか10年で2倍以上という結果に…。要介護者の中には、口腔内のトラブルを抱えている人が多くいますが、身体を思うように動かせず歯科へ受診できないため適切な治療を受けられず、放置されてしまう人もいるのです。放置された結果、歯の喪失や噛む機能の低下など、口腔内のトラブルをさらに悪化させてしまいます。

訪問歯科は不足している?

訪問歯科が難しい原因

訪問歯科診療を実施している歯科診療所は全国で1万3000ヶ所あります。しかし、歯科医全体でみると約2割という結果に…。訪問歯科が少ない原因としては、「労力に見合う利益があるか分からない」「保険の請求の仕方が分からない」「移動時間がかかる」などの問題が挙げられます。

訪問歯科が増えているケース

歯科診療所が訪問する先として増えているのが介護施設です。2002年のデータでは、介護施設への訪問診療利用数が8%台であったのに対して、2011年には12%台と4%も増加しています。介護施設なら一度に多くの患者さんに検診ができ、移動の手間がかからないため、訪問歯科もしやすいようです。

訪問歯科の普及を助ける取り組み

「住み慣れた家で介護をしよう」という在宅介護推進の観点から、国では相談窓口や在宅歯科医療連携室を全国に設置。また、診療報酬改定により在宅診療料を20点に増やすといった取り組みをしており、訪問歯科の普及を後押ししています。訪問歯科を始めようと考えている人はまずは窓口に相談をしてみるとよいでしょう。

細かい診療点数を正確に測るには?

最近は診療点数の管理やカルテの情報共有ができるレセコンでは、コンピューターでの一括管理ができるようになっています。コンピューターとシステムが一体型になったレセコンもありますが、持ち運びのできるタブレットやノートPCなどで操作ができるクラウド型のレセコンもあるので便利です。複雑な診療点数を訪問先ですぐに入力できるので、わざわざ医院に戻って計算する手間が省けます。

訪問歯科の実施状況

訪問歯科を実施している歯科は年々増加傾向にはありますが、まだまだ数の多いサービスと呼べるほどの数には至っていないというのが現状です。在宅療養支援歯科診療所として届を出した歯科の数は、平成20年には3039件でしたが、平成26年には6054件と約2倍の件数まで増加しています。しかし、それでも全歯科診療所の約9%にとどまっているため、まだまだ多いとは言えません。

訪問歯科の患者数

平成27年6月に1か月の歯科訪問診療等を実施した患者の総数平均は、全体で約80人でした。しかし患者数には歯科診療所ごとにばらつきが大きく、一か月の患者総数が201人以上である医療機関が約11%と最も高い割合である一方で、一か月間の総患者数が4人以下という歯科診療所も約23%存在するという結果となっています。

傾向としては、外来診療と訪問歯科を同時に複数の歯科医師で実施しているという形態の診療所は、歯科訪問治療をメインに行っている診療所よりも患者数が多くなりやすい傾向にあるようです。

訪問歯科を始めるきっかけ

訪問歯科は診療所が自発的に始めるよりも、入居施設やケアマネージャーからの依頼、以前診療所に通院していた患者さんからの依頼など、何らかの形で他所から依頼を受けたことがきっかけで始めたと答えた診療所が多いようです。また、少数ですが他の訪問歯科を行っている医師からの依頼や、訪問看護ステーションからの要請を受けたという回答も見られました。

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